産業用コネクタとは、FA機器、ロボット、自動車や鉄道などの車両、通信機器などあらゆる電子機器の測定・制御・各種動力・コントロール等の用途に設計・製造された産業機器向けのコネクタです。これら産業用コネクタには大電流コネクタ、高電圧コネクタ、防水コネクタ、水中用コネクタ、超小型コネクタ、熱電対コネクタ、複合コネクタ、真空用コネクタ、スリップリング、カップリング、マルチカップリングといったものがあります。産業用コネクタの先進技術の多くはヨーロッパや北米が発祥の地となっています。
ストーブリエレクトリカルコネクターズ社は大電流コネクタ(電源コネクタ)を得意とするコネクタメーカーです。同社が独自に開発した「マルチラム」と呼ばれるスプリング特性のある特殊な形状を持つ多面接触方式接点を採用することにより、他のコンタクト方式より小型で大電流を通電することが可能で、接触抵抗が非常に小さいので温度上昇を抑えることも可能となります。大電流コネクタを代表するメーカーとして、2φ~100φまで最大6000Aまでの通電容量を持つ製品を標準ラインナップとして取り揃えており、特注品の製作にも対応しています。
また同社では大電流用コネクタのノウハウを活用した複合コネクタも得意としています。これらの豊富なモジュールにより、電気(パワー、信号)、通信、エア、冷却水等、用途に合わせて自由に最適な組合せが可能で、工場や移動体での自動化、省人化、作業時間の短縮に貢献しています。
ドイツのジーイーエス社は高電圧コネクタの専門メーカーです。同社の高電圧コネクタは小型、軽量でありながら機械的に堅牢な構造(保護等級IP54)をしており、最大90kVの電圧まで対応しています。これらはプラント給電用の高電圧/大電流から高電圧/低電流の多極、単極、ハーメチックシール等にも対応が可能です。
グレンエア社は嵌合の確実性・迅速性を要求される防衛関連、鉄道車両、照明、医療、航空宇宙、生産ライン(プレス・溶接等)、鉄鋼関連といった過酷な環境下において使用できる防水コネクタを得意としています。これらは一般的な防水コネクタより衝撃や振動に強く操作性もよく、アメリカ国防総省が制定したアメリカ軍の資材調達に関する規格であるMIL規格にも準拠しています。豊富なピンパターンで光ファイバーや熱電対、同軸仕様にも対応が可能です。
ドイツのフンメル社は主にデータ信号やパワー用に設計された小型防水メタルコネクタを得意としています。これらの防水コネクタはヨーロッパにおける業界標準サイズ(M8からM40)を網羅しており、UL規格品、VDE規格品、防水仕様、EMC対応品仕様など様々なタイプを取り揃えています。これらの製品はエンコーダー、 サーボモータ、フィールドバスシステム、電磁弁などに多く採用されており、FA業界では大きな市場シェアを持っています。
ジスマ社はドイツにある水中用コネクタのメーカーです。用途に応じてゴム成形、各種ハウジング材質(アルミ、SUS、チタンシェ ル)、ゴムモールド、オイルフィルドといった水中用コネクタがあります。これらは電気以外に光ファイバー、同軸にも対応し、水中着脱可能なものや深海 8,000mまで対応しているものもあり、有人深海調査艇、ROV、潜水艇、海底調査、ソナー、水中ロボット、水中ドローン、海底油田開発、地質調査、採掘事業等で使用されています。
オムネティクス社の超小型コネクタは同社独自のコンタクト技術FLEX-PINシステムをベースとしており、この一体成型による特殊なコンタクト形状と卓越した 表面処理技術により、高接触圧、低挿抜力、という相反する条件を融和させて、長期にわたる高信頼性の 継続を可能にしました。この超小型コネクタには1.27mmピッチのMicroシリーズと0.635mmピッチのNanoシリーズがあり、角型・丸形・金属ハウジングMIL-DTL-32139認定品、NASAアウトガス規制適合、FDAメディカル仕様といった様々なご要求にも対応が可能です。
イギリスのラブファシリティ社は熱電対用コネクタの専門メーカーです。熱電対コネクタとは、熱電対補償導線と同じ材質のコンタクトを使用することにより接続時にほぼ同等の熱起電力特性を得ることができ、より精度の高い温度管理をおこなうことができる専用のコネクタです。これらは工業炉、恒温槽、乾燥機、射出成型機および焼き入れした製品(食品、半導体、金属加工品等)の温度測定や温度抑制といった温度管理で必要となる熱電対補償導線の中継用や延長用として熱電対コネクタが幅広い業界で数多く使われています。
ムーグ社は60年以上の歴史を持つアメリカにあるスリップリングのメーカーです。スリップリングとは、回転体に取り付けられたデバイスとの通信、回転している負荷への電源供給などを可能にする回転接続用のコネクタであります。同社では標準仕様のものから超小型、超多極、ハイパワー、通信・信号、高速回転用まで幅広く10,000種類以上のスリップリングを取り揃えております。
カナダにあるフォーカルテクノロジー社は前述のムーグ社のグループ会社であり、高速、大容量の信号伝達に最適な光ロータリージョイント(光ファイバースリップリング)に特化したスリップリングメーカーです。同社が製作する光ロータリージョイントは堅牢なハウジング構造でできており、海洋・沿岸開発の現場で、ROV、無人探査艇など映像信号・データ通信等の情報量が多い機器間の接続で数多くの採用実績があります。
アメリカにあるメルコタック社はロータリーコネクタ(ノイズレススリップリング)のメーカーです。ロータリーコネクタとは同社が独自に開発したスリップリングであり、水銀接点を通して電気を接続します。水銀接点を採用することで、一般的なスリップリングとは異なり、微小信号から大電流までノイズを発生することなく使用することができます。また接触抵抗が低く安定しているので、大電流の接続も一般的なスリップリングよりもコンパクトにすることも可能です。
ストーブリ社は流体用コネクタである油空圧カップリングを得意としたフランスのメーカーです。着脱時の外部への液ダレや内部へのエア混入が極めて少ないカップリングや、ワンタッチで安全に素早く着脱できる操作性の優れたカップリングを得意としており、これらは幅広い製品群であらゆる流体に対応しています。
また水・油・エア・電気(電源・信号)といった複数の回路や電線を一括で着脱できるマルチカップリングも得意としており、これらを一括着脱することにより、誤接続防止や作業時間短縮に役立っています。マルチカップリングには自動着脱、手動着脱といった製品ラインナップがあり、工場や研究施設における生産性の合理化・省力化を実現します。
①油圧機器まわりで使用する際に最適な、液ダレがほとんどないカップリング(カプラー)とは
③ヘルールクランプ(サニタリークランプ)の着脱をワンタッチ化する方法
電子部品の分野において日本企業の技術力はトップクラスですが、産業用コネクタの分野では、実はヨーロッパや北米が先進国であります。産業用コネクタ&コンポーネンツを運営する丸紅エレネクストは1974年の創業以来、一貫してヨーロッパや北米より最先端の産業用コネクタを取り扱い、日本代理店として長年の経験で得られた知見をもとに、お客様が抱えている現場の問題点やお困りごとに対してお客様と一緒になって現場改善に取り組んでいます。引き続き、日本国内の自動車、電池、半導体、電力、鉄鋼、工作機械、鉄道、ロボット等の我が国の基幹産業、最先端技術に幅広く貢献して参ります。