熱電対コネクタは、精度の高い温度管理をおこなうことができる専用のコネクタです。こちらの記事では、熱電対コネクタの特長と用途についてご紹介いたします。
熱電対コネクタとは、熱電対補償導線と同じ材質のコンタクトを使用することにより接続時にほぼ同等の熱起電力特性を得ることができ、より精度の高い温度管理をおこなうことができる専用のコネクタです。
熱電対補償導線では各タイプによりプラスとマイナスの材質が異なります。例えば、Kタイプはクロメル(+)/アルメル(-)、Tタイプは銅(+)/コンスタンタン(-)、Jタイプは鉄(+)/コンスタンタン(-)、Eタイプはクロメル(+)/コンスタンタン(-)となります。もし、熱電対補償導線と同じ材質のコンタクトでない一般的なコネクタを使用した場合は、熱起電力特性が異なり温度差が生じてしまうため正確な温度管理をおこなうことができません。
熱電対コネクタはコンタクトの材質と同様にコンタクトの寸法も意図的に変えている(マイナス側が少し大きい)ため、誤接続などの人為的なミスを防止できるといった作業性を重視した作りになっています。また、200℃以上といった高温下での厳しい環境でも精度の高い温度管理が可能です。
これらの特長により、工業炉、恒温槽、乾燥機、射出成型機および焼き入れした製品(食品、半導体、金属加工品等)の温度測定や温度抑制といった温度管理で必要となる熱電対補償導線の中継用や延長用として熱電対コネクタが幅広い業界で数多く使われています。
用途①:ガラス瓶の製造工程
用途②:パンなどのオーブン
熱電対コネクタは規格に準拠した色別コードでコネクタのタイプを区別することができます。準拠している規格は次の通りです。
・日本産業規格であるJIS(Japanese Industrial Standards)規格
・国際電気標準会議が定めているIEC(International Electrotechnical Commission)規格
・米国国家規格協会が定めているANSI (American National Standards Institute)規格
このことにより、同じ規格に準拠した同じ色の熱電対コネクタであれば、他社製のものと勘合させて使用することも可能です。例えば、Kタイプの熱電対コネクタはJIS規格品では青色、IEC規格品では緑色、ANSI規格品では黄色になります。
熱電対コネクタには2種類のサイズが存在します。ひとつは標準コネクタともうひとつはミニチュアコネクタで、それぞれのサイズに中継用、パネルに素早く簡単に固定できるパネル取付け(パネルマウント)用があります。また標準サイズでは連結機構付きの熱電対用の端子台もあります。
標準サイズ
ミニチュアサイズ
産業用コネクタ&コンポーネンツでは、熱電対コネクタとヒーター電源(パワー系)の複数の着脱をひとつのコネクタに集約することも可能です。先ほどの規格や色別コードは関係ありませんが、複数の接続箇所を一か所に集約することにより、精度の高い温度管理ができるとともに作業時間の短縮、差し間違いの防止、スペースの有効活用等により、さらなる生産性向上が見込まれます。また、手動着脱以外にもスライドイン着脱や自動着脱にも対応可能で、工場の自動化や省人化にも貢献しています。
ある電炉メーカーの工場では、電気炉の温度測定用に一般的な熱電対コネクタを使用していました。しかし、その熱電対コネクタは電気炉の真上に配置されており、炉の熱で熱電対コネクタの絶縁体の樹脂部分が溶けてしまうという問題がありました。
そこで、コネクタ本体の樹脂部分がセラミック製で650℃の温度まで対応可能な熱電対コネクタを導入。問題解決することが出来ました。
今回は、熱電対コネクタについてご紹介いたしました。
産業用コネクタ&コンポーネンツを運営する丸紅エレネクストでは海外・国内メーカーとの強力な協業体制のもと、工場の生産設備を支える高品質・高耐久なコネクタ・カップリングを扱っています。
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