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高周波の基礎

高周波の基礎

「高周波」は、現代において様々な用途で使用されており、必要不可欠な技術となっています。そこで今回は、高周波とは何かを簡単に説明していきます。

高周波とは

高周波とは文字の通り、周波数の高い(1秒間当たりの波の数が多い)電波(電磁波)や電流、音波などの振動を指します。電波や電流においては、RF(Radio Frequency)と呼ぶこともあります。どの程度の周波数から高周波になるのかというのは明確な定義は無く、使用される分野などによって変わってきます。例えば電波法においては、10kHz以上の高周波利用設備について設置許可が必要とされていることから、10kHz以上を高周波と呼ぶことがあります。
以下、高周波は電波、電流の場合で説明します。

波数と波長

周波数と波長(波の1周期の長さ(隣り合う山と山又は谷と谷の距離))は密接に関係しており、電波、電流の場合は下記の数式で表すことができます。
λ = c / f
 波長:λ(m)
 周波数:f(Hz)
 真空中の光の速度:c ≒ 3 × 108(m/s)

例えば、周波数が50Hzの場合の波長は、
(3 × 108) / 50 = 6,000,000(m) = 6,000(km)
周波数が100MHz(= 100×106Hz)の場合の波長は、
(3 × 108) / 100×106 = 3(m)
となります。

つまり、周波数が高くなると、波長が短くなります。

なお、音波の場合は下記のように速度が変わります。
λ = c / f
 波長:λ(m)
 周波数:f(Hz)
 常温の空気中の速度:c ≒ 340(m/s)
例えば、周波数が1kHz(= 1,000Hz)の場合の音波の波長は、
 340 / 1000(Hz) = 0.34(m) = 34(cm)
となります。

周波数の分類

各周波数での分類は下表の通りとなります。周波数の範囲により、呼び方が変わります。

Mはメガ(= 106)、Gはギガ(= 109)、Tはテラ(= 1012)を表します。

光も電磁波の一種となります。人が見ることができる光(可視光:波長の短い順番で紫→藍→青→緑→黄→橙→赤)の場合は、上記の表のものよりも波長が短く、周波数は高くなります。波長だと約380nm~770nm(nはナノ(= 10-9))となり、それに相当する周波数は、789THz~389THzとなります。

高周波の用途

高周波は様々な用途で使用されており、我々の生活に密接した技術の一つです。下記に用途の一例を挙げます。

通信

携帯電話

700MHz帯、1.5GHz帯、2.1GHz帯などの多数の周波数帯が使用されています。近年では、5G(第5世代移動通信システム、5th Generation Mobile Communication System)において、28GHz帯という、高い周波数を使用できるようになっています。

無線LAN(Wi-Fi)

主に2.4GHz帯および5GHz帯が使用されていますが、近年、6GHz帯も使用できるようになってきました。2.4GHz帯は、屋内・屋外で使用可能ですが、5GHz帯及び6GHz帯については、屋外使用において条件があります。

Bluetooth

2.4GHGz帯を使用しており、無線LANと同じ周波数帯を使用しています。そのため、同時に使用すると電波の干渉が起こり、信号が一部損失する可能性がありますが、なるべくそのような不都合が起きないような技術が使用されています。

医療

電気メス

300kHz~5MHz程度の周波数の電気を流すことにより発生する熱を利用し、組織の切開や止血を行います。周波数が高いことにより、感電し難くなっています。

MRI

磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の略になります。強い磁石(磁場)と電磁波を使用し、体内の断面を撮影します。1.5T(テスラ)の静磁場(時間的な変動の無い磁場)では、およそ64MHzの電波が使用されます。

高周波治療器

10kHz以上の周波数が主に使用されています。低周波治療器よりもより深部にまで刺激が達します。ピリピリした刺激は低周波治療器より少なくなります。低周波治療器は1kHz以下程度の周波数が多く使用されています。

産業

高周波加熱

大きく分けて、誘導加熱と誘電加熱があります。

・誘導加熱:高周波電流を流すことで発生する磁界を利用して加熱する方法で、金属を加熱するのに使用します。産業向けですと3kHz~3MHzが使用され、金属の表面硬化処理である熱処理(焼き入れ、焼き戻し)などに使用されます。一般用途ですと調理用のIHヒーターで使用され、10kHz~30kHzが使用されます。

・誘電加熱:高周波の電磁波を使って誘電体(電気を通さない物質)の内部分子を振動させて発熱させる方法です。産業用には3MHz~300MHzが使用され、プラスチックやゴムなどの加工、木材の乾燥、食品の殺菌などに使用されます。一般用途ですと電子レンジに使用され、2.45GHzが使用されます。電子レンジと無線LANでは同じ周波数帯を使用するため、電子レンジ使用時に、無線LANでの通信に影響が出ることがあります。

半導体製造装置

主にプラズマを発生させるために高周波が使用されます。13.56MHzや40.68MHz、2.45GHzなどが使用されます。

その他

GPS(米国)

1.5GHz帯~1.5GHz帯を使用しています。同様の衛星を使用した測位システム(GNSS)には、GLONASS(ロシア)、Galileo(EU)、BeiDou(中国)、みちびき(日本)などがあり、それぞれ使用する周波数が異なります。

非接触給電

身近な所では、携帯電話への充電などに使用されています。給電には様々な方式があり、使用する方式により周波数が異なります。

・電磁誘導方式:最も一般的な方法で、送電側のコイルと受電側のコイルを近接させることにより電力を供給します。数10kHz~10数MHz程度を使用します。

・電界結合方式:送電側と受電側の電極を接近させ、その間に生じる静電容量(コンデンサと同様)を利用して電力を供給する方式です。100kHz~10数MHz程度を使用します。

・マイクロ波方式:送電側で電力を高周波に変換し、アンテナで送電。受電側のアンテナで高周波を受け取り、高周波を電力に戻します。離れた場所に電力供給できます。920MHz、2.4GHz、5.7GHzを使用されます。

交通系ICカード

NFC(Near Field Communication)という近距離無線通信規格を使用しており、13.56MHzを使用しています。

まとめ

次回は、高周波の影響や、高周波コネクタの種類について説明させて頂きます。

産業用コネクタ&コンポーネンツでは高周波に対応した様々なコネクタやケーブルを取り扱っています。加えて、多極の同軸コネクタや、同軸と電源、同軸以外の通信、流体を複合したコネクタのご提案なども可能です。また、コネクタは特注対応も可能です。

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