
今回は、ロータリージョイントの要素部品の一つである光コネクタの嵌合形態についてご説明いたします。光コネクタの嵌合形態は大きく分けて次の2つの種類があります。
押し当て式とは、コネクタ嵌合時にコンタクトが端面同士互いに押し当てた状態で嵌合完了となるタイプになります。光コネクタのコンタクトには一般的なコネクタのような雌雄といった区別はありません。主な一般汎用コネクタタイプの型式呼び名は、FC、ST、SC、LC、MUなどになります。これらの呼び名、それぞれの形状・形態は、製造しているコネクタメーカー間で相違はなく、すべて共通になります。これらのコネクタはそれぞれの「ブッシング」と呼ばれるアダプタを介して嵌合するので、一般的なコネクタのような雌雄といった区別はありません。
光ファイバーを伝播してきた光は、押し当てた嵌合状態のコンタクト間の中心、すなわちコンタクトの中心部を経て相手側光ファイバーに伝播します。この押し当て式コネクタの光減衰性能は、<1db 程度が通常です。押し当て式コネクタの場合、その性能パラメターに「反射減衰」があります。この「反射減衰」を決定づけるのはコンタクト端面の研磨形状になります。研磨形状としてはPC、APC、UPC、APCなどがあります。これらの研磨形状は、前記コネクタタイプ型式のいずれにも適用が可能です。
今回のコラムではそれらの詳細説明は割愛いたしますが、上記の一般汎用コネクタ以外にも、いくつかの光コネクタメーカーが独自に設計・製造・販売している押し当て式タイプの光コネクタがあります。
非接触式とは、コネクタ嵌合時においてコンタクトが非接触の状態でも嵌合完了となります。コンタクト端面にレンズ光学系が装着されています。このレンズ光学系により光ファイバーを伝搬してきた光ビームはその円形断面は拡大され、平行ビームとして出射され、嵌合状態の相対するコネクタ端面(レンズ)間のエアーギャップ(気中)を伝播し、対面のコネクタ端面のレンズに入射し、光ビームは収束し、再び光ファイバーを伝播します。この光伝達経路は双方向伝達です。この非接触タイプの減衰性能は、>3db 程度が通常です。
このタイプのコネクタは、いくつかのコネクタメーカーがそれぞれ独自のデザインで設計・製造し、市場に出しております(産業用コネクタ&コンポーネンツでは、MacArtney社の光コネク”OptoLink”シリーズを扱っております)。このタイプのコネクタには、雌雄(プラグとレセプタクル)はありますが、コンタクト構造に雌雄は無く同一です。
一般用途には、1)の押し当て式コネクタが広く使用されてます。2)の非接触式コネクタは、耐環境仕様(水中、防水など)に用いられていることが多いです。それぞれメリットとデメリットがあるので以下にその内容を説明します。
先ず、押し当て式コネクタについては、嵌合毎にコンタクト同士の端面が当たるので傷が付き易く、更に着脱時の雰囲気の汚染具合によっては、汚れ微粒子がコンタクト端面間に挟まったり付着したりして端面に傷がつきます。このような要因で光伝達性能は低下し、更にコンタクト嵌合寿命、すなわちコネクタ嵌合寿命が短く限られております。
一方、非接触式コネクタは、コンタクト(端面レンズ)同士が離れており接触することは無いため、その端面が傷つくことは無いです。コンタクトの嵌合寿命への影響は無く嵌合寿命は、コネクタ嵌合機構の機械的寿命に依存します。
光の減衰性能(挿入損失)に関しては、基本的には押し当て式のほうが性能上は良いのですが、前述のとおり、傷、汚れの影響を受け易いです。
挿入損失の長期安定性は、着脱頻度並びに嵌合時の雰囲気汚染状況に依存します。非接触式は、光の挿入損失の性能はその光学構造上(光が気中を通ること)、押し当て式よりは劣ります。しかし、挿入損失の長期安定性は、着脱頻度の影響を受けにくく、押し当て式に勝ります。ただし、光学デバイスはすべて汚れた雰囲気に曝されるのを嫌います。したがって押し当て式・非接触式両方とも、汚れた雰囲気での着脱は性能低下につながるので、着脱都度端面のクリーニングを各コネクタメーカーの指示・手順に従って行うことが必須となります。
*次回はロータリージョイントに関する取り扱い・不具合モード等(その②)を予定しています。
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