二次電池は、我々の生活において必要不可欠で市場用途も急拡大していますが、開発や製造現場では多くの課題に直面しています。
特にEV/HEV用バッテリーにおいては、航続距離の拡大、機能の拡充によりバッテリー容量UPの需要が高まっており、開発や製造現場におけるバッテリーへの接続課題が増えています。そこで産業用コネクタ&コンポーネンツではこれらの課題解決に向け、以下、5つの用途におけるソリューションを5回のシリーズに分けて提案いたします。
第1回:電池開発におけるバッテリーセル接続大電流コネクタ/電源コネクタ
第2回:電池開発における恒温槽内ラック接続用大電流コネクタ/電源コネクタ
第3回:量産充放電設備における治具 – 装置間コネクタ
第4回:EV充電ガン中継コネクタ
第5回:バッテリー交換式EV向けコネクタ
今回は第3回「量産充放電設備における治具 – 装置間コネクタ」についてご紹介いたします。
量産工程の充放電設備において、生産技術に携わる皆さまは普段からどの様な悩みごとをお持ちでしょうか。産業用コネクタ&コンポーネンツでは以下A~Eのようなお悩みごとや改善に向けたお問合せを頂くことがよくあります。
<よくある5つのお悩みごと>
A. 多チャンネルを一括で接続したいが、多くのコネクタが必要となってしまう
B. 治具メンテナンス時にラック接続したいが、多チャンネルのため、調芯の精度が出せず機械的に対応が困難
C. できれば充放電用電源と温度管理用信号を一括着脱したい
D. 多チャンネルに給電するため、ケーブル引き回し時にディレーティングの影響への知見やアドバイスが欲しい
E. ケーブルが複数本となり、ケーブルの引き回しに現場で苦労している
産業用コネクタ&コンポーネンツではこれらのお困りごとに対する改善事例やノウハウを持っています。今回は治具(フィクスチャー)にセットされた多チャンネルセルへの給電を一括解決できたという事例やアイデアを中心にご紹介いたします。
<量産工程/充放電装置イメージ>
まずA~Cのお悩みごとに関しましては、前回コラム(電池開発における恒温槽内ラック接続用大電流コネクタ/電源コネクタ)でご紹介している複合コネクタCombiTacシリーズ(自動着脱モジューラー式コネクタ)を活用することで問題を解決することができます。
複合コネクタCombiTacシリーズは1極当たり最大350Aの電源モジュール、φ0.6mmからの信号用モジュールにて1つのコネクタで多チャンネルを一括着脱することができます。精度の高い正確な温度管理が必要な場合は熱電対用の専用コンタクトも用意されています。また、円周方向に最大4mmの芯ズレを吸収するガイドを用いて背面接続の設計をアシストする量産充放電設備向けのコネクタがあります。
次にDのお悩みごとに関しましては、ケーブル束線時に物理的に空間距離を作り、ケーブそのままケーブルを引き回しできるケーブルエントリシステムを活用することで問題を解決することができます。特にケーブルエントリシステムのストレインリリーフは、ケーブルを正確にキレイに配置するだけでなく、ケーブルどうしを束線することなく空間を設けることにより放熱性を高めることができ、ディレーティングの影響を最小限おさえることが可能になります。
最後にEのお悩みごとに関しましては、こちらも前回コラムでご紹介しているフレキシブル性の高いケーブルを活用することで、ケーブルの太さや本数に関わらずこれまで以上にケーブル自体の取り回しが改善されるとともに治具(フィクスチャー)の設計自由度を広げることも可能になります。
今回ご紹介しました製品に関するお問合せや資料のご請求は、産業用コネクタ&コンポーネンツにお問い合わせください。