
近年、宇宙開発の分野では小型衛星やロケットの高密度化・軽量化が進み、限られたスペースに多くの電子機器を搭載することが求められています。接続部品にも高い信頼性と省スペース性が必要とされる中、超小型コネクタの選定は開発現場にとって重要なテーマとなっています。
従来はねじ止め式のコネクタが主流でしたが、作業効率やスペース確保の面で課題が浮き彫りになっていました。今回は、ロケット開発の現場でラッチ式の超小型コネクタMicro-Dコネクタを導入し、作業効率とスペース確保を同時に実現した事例をご紹介します。
あるロケット開発現場では、ミッションごとに電子機器やセンサーモジュールの組み換え・調整が発生し、地上試験や打上げ前の点検作業等でもコネクタの抜き差しが頻繁にありました。
従来はねじ式の超小型コネクタを使用していましたが、1本1本の小さなねじを手作業で着脱する必要がありました。超小型コネクタのねじは特別小さく、左右均等な力で少しずつ着脱をする必要があるのです。
また、滅多にないイレギュラーなことですが、ねじを現場で紛失する問題が起こってしまいました。紛失した場合は発見まで作業がストップしてしまうため、開発スピードにも大きな影響を及ぼします。
この現場で抱えていた課題は、主に以下の通りです。
ねじ式コネクタは、左右のねじを均等にゆっくり回しながら外す必要があり、1つのコネクタを外すのに大変時間がかかっていました。頻繁な抜き差しが求められる開発現場では、この作業負担が大きな非効率要因となっていました。
ねじが非常に小さいため、万が一紛失した際にはリスクがあります。紛失した場合は、見つかるまで現場全体の作業が中断することもありました。
ねじを回すための作業スペースが必要なため、限られた機器内部のレイアウト設計にも制約が生じていました。
そこで同社が採用したのが、ラッチング式のマイクロD超小型コネクタです。導入の決め手となったポイントは以下の通りです。
ラッチ式コネクタは、工具を使わず簡単にワンタッチ着脱が可能です。詳しくは以下の参考動画をご覧ください。
ねじを回す手間がなくなると、作業時間は1コネクタあたり50秒から6秒へと大幅に短縮されます。これにより、開発現場のリードタイム短縮と作業者の負担軽減が同時に達成されました。
ラッチ式でありながら、勘合強度はねじ式と同等です。振動や衝撃の多いロケット用途でも、確実な接続が保証されます。作業者ごとの作業スピードや品質のバラつきもなくなりました。
この開発現場では「ねじで今まで通りやることもできるけれど、ちょっとした手間の改善で、作業ストレスが大幅に減りました。」という声をお聞かせいただきました。こうした小さな工夫の積み重ねが、宇宙開発のスピードアップにつながるのだと感じています。
このように超小型コネクタを使って「タクトタイムを短縮したい」、「作業者の安全をアップしたい」といったご要望がありましたら、産業用コネクタ&コンポーネンツまでお気軽にご相談ください。