
鉄鋼業界における過酷な製造環境では、設備の安定稼働とメンテナンス性が何よりも求められます。特に、高温・高電圧という条件下で使用される機器や部品には、高い信頼性が要求されます。今回ご紹介するのは、西日本にある鉄鋼メーカーの表面処理工場において、高電圧コネクタを採用することで、スパークプラグ用ケーブルの断線問題を解決できた採用事例になります。
西日本にある鉄鋼メーカーの表面処理工場では、焼鈍炉の点火にスパークプラグを使用しており、7kVの高電圧を供給するための配線として2sqサイズのケーブルを使用していましたが、この現場ではこのケーブル断線の不具合が頻発しており、その対策が必要な箇所が全工場で660箇所もあり、社内で大きな問題となっていました。
当初、同社ではこの問題を改善しようとケーブルの断線が頻繁に発生する箇所に高電圧ボックスの設置しようと検討していましたが、7kV対応の高電圧ボックスを660か所すべてに設置するとなると、1か所あたり20~30万円の費用が発生し総額で1億円以上の投資が必要となる見込みで、コスト面から断念せざるを得ませんでした。
そこで同社が目を付けたのが、産業用コネクタ&コンポーネンツで紹介している高電圧コネクタです。
このサイトを運営している丸紅エレネクストの営業担当と打合せを重ねた結果、次のような対応策を取ることにしました。それは、高電圧ボックスを設置するのではなく、ケーブルの両端に高電圧コネクタを取り付けた「高電圧コネクタ付き中継用ケーブル」をあらかじめ複数用意しておき、万が一、断線が発生した際にも該当箇所の中継ケーブルだけの交換をおこなうというものでありました。特に焼鈍炉の加熱部付近といった一番ケーブルが断線しやすいところでは、非常な有効な対応策となり、同社では柔軟かつ効率的なメンテナンス体制を構築することができました。
同社がこの高電圧コネクタ付き中継用ケーブルを正式に採用する決め手となったのは、以下の3つのポイントでした。
従来の固定配線方式では、加熱部付近で断線が生じるとケーブル全体を取り替える必要がありました。しかし、高電圧コネクタ付き中継用ケーブルを導入することで、断線箇所だけを抜き差しして迅速に交換することが可能となりました。このことにより、保守作業の時間は短縮され、保守の効率化と稼働率向上につながりました。
当初の検討案であった高電圧ボックスの設置には1か所あたり20~30万円の費用がかかる見込みでしたが、今回の高電圧コネクタ付き中継用ケーブルを導入するにより、コストはおよそ10分の1以下に抑えられ、660か所すべてに展開する計画の検討も現実的なものになりました。現在は毎月の保全予算で定期的にこの高電圧コネクタ付き中継用ケーブルの導入を進めています。
採用された高電圧コネクタは、高温・粉塵・振動が常に存在する厳しい鉄鋼現場での環境下においても問題なく使用することができる堅牢性と耐久性を兼ね備えた製品です。
同社では現在、毎月の保全予算で定期的に高電圧コネクタを購入し、随時、この高電圧コネクタ付き中継用ケーブルを現場に導入中であり、全対象箇所660箇所に展開する予定です。
今回の高電圧コネクタの採用事例は、鉄鋼業界の現場おいて、コストパフォーマンス・安全性・メンテナンス性の面で大きなアドバンテージを発揮します。
※高電圧環境での設備改善にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。