今回は観測用レーダー向けスリップリングの採用事例をご紹介させて頂きます。
下記のような場合においてもスリップリングが使用できるという採用事例のご紹介になります。
監視カメラや観測用レーダーの精度を求めると、当然、スリップリングへの要求仕様も高くなります。
あまりにも仕様が高い場合にはスリップリングの採用方式を諦め、ケーブルの取り回し方式による設計をおこなうケースも見受けられます。しかし、その設計内容ではケーブルの断線リスクを招いたりスペースの問題などが発生してしまいます。
仕様が高ければ高いほど、本当は採用したかったスリップリングの検討を諦める設計者が多くいることも事実であります。
しかし、そこでスリップリングの採用を諦める必要はまったくありません。
今回の採用事例について簡単にご紹介させて頂きます。
電気仕様が高精度の観測用レーダーを想定しているため、非常にハイスペックなものでありました。
今回は中空径が大口径かつ、多チャンネルで伝送速度100Mbpsクラスを実現させることが求められていました。
(小型のスリップリングでは100BaseT、1000BaseTは対応可能です。大口径でも条件次第では100BaseT、1000BaseTの対応が可能なケースもあります)
また駆動電源をともなう大電流も複数本必要だったため、ハイスピード&パワーの複合仕様が必須でありました。
打合せを重ねた結果、見事、その要求スペックを満たす製品を提案することが出来ました。
また、メカ仕様は大型の据え置き型の観測レーダーを想定していたため、装置寿命の観点からスリップリングにおいても半永久的に使用できる回転寿命が求められていました。この高い仕様に対して、想定する回転スピードと回転数を計算の上、数あるスリップリングの中から億回転レベルの回転寿命をもった製品を提案することが出来ました。
さらにスリップリングの本体サイズについても細かい要求がありました。搭載レーダーが大型につき取り付けに関わる内径や外径は非常に大きいサイズの要求がありましたが、レーダー内のスペースは逆に限られているため本体の長さはシビアな制限の要求を受けておりました。
このサイズ要求に対してはブラシやリングの配置および、配線を工夫してそれらの要求を満たすことが出来ました。これら諸々の要求事項を全てクリアし、採用に至ったスリップリングは今もなおご利用頂いています。
今回のようにスリップリングではスペックを満たせないと考えられる要求仕様であってもご提案可能なケースは多々あります。
光ファイバー仕様や流体と組み合わせたもの、高電圧タイプ、大電流タイプ、高速伝送、超小型タイプなど、昨今求められる仕様は多岐に渡りますが、産業用コネクタ&コンポーネンツでは最適な製品をご提案することが出来ます。
回転駆動に対して通電、流体が必要な設計がございましたら是非ご相談ください。