

製造現場における温度管理は、製品品質や歩留まり、生産設備の安定稼働に大きく影響します。その温度を正確に測定するために広く使用されているのが「熱電対」です。熱電対は、鉄鋼設備や熱処理炉、樹脂成形機、食品加熱設備など、さまざまな
産業分野で活躍しています。また、家庭用ガスコンロの「立ち消え安全装置」のセンサにも熱電対方式のものがあり、実は私たちの暮らしのすぐそばでも活躍しています。本コラムでは熱電対の「しくみ」「メリット」「種類」「規格」についてご紹介します。
熱電対は、異なる2種類の金属線を先端で接続した温度センサです。
測定接点と基準接点の温度差により、両金属内で電子の動き方に違いが生じ、微量の電気(熱起電力)が発生します。この現象をゼーベック効果と呼び、発生した電圧から測定接点の温度を求めます。

温度センサには熱電対のほかに、測温抵抗体(RTD)やサーミスタなどがあります。
その中でも熱電対が広く採用されている理由は、測定できる温度範囲の広さと扱いやすさにあります。熱電対は測温抵抗体(RTD)に比べて高温域の測定に適しており、応答速度にも優れています。また、構造がシンプルなため振動や衝撃に強く、比較的低コストで導入できることから、生産設備や製造装置の温度監視に幅広く使用されています。
一方で、RTDの方が高精度な測定に適しているため、用途に応じて使い分けられています。

熱電対にはK型、J型、T型、E型などの種類があり、使用する金属の組み合わせによって特性や適用温度範囲が異なります。
なかでもK型熱電対は広い温度範囲に対応できることから、各種産業設備の温度管理用途で広く使用されています。
実際の製造現場では、「まずK型を検討する」というケースも少なくありません。
選定する際は、測定温度範囲、使用環境、要求精度などを考慮することが重要です。代表的な熱電対の特徴を下表に示します。

※測定温度範囲は一般的な目安です。実際の適用温度範囲は熱電対の種類だけでなく、センサ構造、接続コネクタ、補償導線、被覆・絶縁材料などの仕様により異なります。
熱電対を制御盤や計測器まで配線する際、熱電対と同じ材料で延長配線を行うとコストが高くなります。
そこで使用されるのが「補償導線」です。補償導線は、熱電対の熱起電力特性を一定範囲で補うよう設計された材料で構成されており、適切に使用することで長距離配線時の測定誤差低減に役立ちます。
熱電対センサを正しく選定しても、補償導線の選定や配線方法が適切でなければ正確な温度測定ができない場合があります。
例えば、K型熱電対にJ型用補償導線を接続したり、極性を逆に配線したりすると大きな測定誤差が発生する可能性があります。そのため、熱電対と同様に適切な種類の補償導線を選び、正しく配線する事が重要です。

熱電対では、温度と熱起電力の関係や許容誤差を定めた規格が整備されています。代表的な規格としてJIS、ANSI、IEC 60584があり、一般的に多くの熱電対製品はこの規格に基づいて設計・製造されています。
異なるメーカーの熱電対や関連部品を組み合わせる際にも、一定の互換性が期待できます。
熱電対は、「広い温度範囲」「高い耐久性」「優れたコストパフォーマンス」を兼ね備えた製造現場に欠かせない温度センサです。
産業用コネクタ&コンポーネンツでは各種熱電対用コネクタを多く取り扱っております。
温度測定に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

