
コネクタは電子機器の電気的接続に不可欠で、日本の製造業にとって重要な市場です。2022年の日本市場は減少しましたが、自動車や産業機器向けの需要は回復傾向にあります。世界市場は5GやIoTの普及により成長を続け、今後も拡大が予想されます。日本企業は高度な技術力を活かし、高速データ転送や信頼性の高いコネクタの開発を進めることが求められます。こちらの記事では、日本のコネクタ市場の動向と今後の展望を解説します。
コネクタは電子機器の各種部品やシステム間の電気的接続を担う重要な電子部品です。自動車、産業機器、スマートフォン、パソコンなど、幅広い分野で使用されており、その市場動向は各産業の発展と密接に結びついています。特に日本の製造業においては、高度な技術力と製造能力を背景に、コネクタ市場の動向は重要になっています。
経済産業省の生産動態統計によると、2022年の日本のコネクタ生産量は前年比12%減の315億個、生産金額は同2.5%減の3,410億円となりました。この減少の主な要因として、スマートフォン市場の低迷が挙げられます。一方で、半導体不足の解消やロックダウンの影響がなかったことから、自動車向けやゲーム向け、産業用コネクタの需要は増加し、これらの分野では回復が見られました。
世界的な視点では、コネクタ市場は成長傾向にあります。2023年の市場規模は約835億5,000万米ドルと推定され、2024年から2032年にかけて年平均成長率6.8%で成長し、2032年には約1,474億4,000万米ドルに達すると予測されています。この成長は、電子機器の普及と無線通信の拡大、特に5G技術の商業化やIoT(モノのインターネット)の普及によるものと考えられます。
プリント基板(PCB)コネクタが現代の電子機器に不可欠な役割を果たしており、2023年において優位性を示しています。また、光ファイバーコネクタは、高速データ転送を促進するため、通信、データセンター、ハイパフォーマンスコンピューティングの分野で重要な役割を果たしており、今後の成長が期待されています。
家庭用電化製品セグメントが最大の市場シェアを占めています。コネクタは充電、データ転送、オーディオ/ビデオ接続など、家庭用電化製品において重要な役割を果たしています。また、自動車セグメントにおいても自動運転、EV(電気自動車)、高度な電子クルーズコントロールなどの技術の進歩により、高い成長率を示すと予想されています。
日本のコネクタ市場は、スマートフォン市場の低迷による一時的な減少が見られたものの、自動車、産業機器、ゲーム向けの需要増加により、全体として安定した推移を示しています。今後、5G技術の普及やEVの増加、IoTの進展に伴い、コネクタの需要はさらに拡大すると予想されます。特に、高速データ転送や信頼性の高い接続が求められる分野での産業用コネクタの重要性は増すと考えられます。日本企業は、高度な技術力を活かし、これらのニーズに対応した製品開発を進めることで、市場での競争力を維持・強化していくことが求められます。