関東のある熱間圧延の工程では、熱間圧延機の制御ボックスにネジ込み操作で着脱する一般的なコネクタを6個使用していました。しかし、工場内の環境により誤接続の作業ミスが頻繁に発生したり、コネクタ自体が破損したりと、社内でも大きな問題となっていました。
今回は、関東にある製鉄所内の熱間圧延機の制御ボックスで使用されているコネクタの改善事例をご紹介いたします。
熱間圧延の工程は粗圧延機と仕上圧延機で構成されており、そこでは厚板圧延から温度制御しながら行うコイル圧延までおこないます。そこの温度制御をおこなう制御ボックスにはメタコンというネジ込み操作で着脱する一般的なコネクタを6個使用していました。
熱間圧延機の周辺には製品の鉄板が冷めないよう、近くに溶鉱炉もあり高温多湿の環境でありました。その環境の中でコネクタの着脱頻度は1~2週間に1回あり、1回あたり作業時間は2~3分の作業でありました。
コネクタ着脱が6か所もあるため、誤接続防止のためにコネクタ本体に色を付けて区別していました。しかし、その色が見えなくなってしまい誤接続の作業ミスが頻繁に発生したり、制御ボックス周辺には粉塵や汚れたミストが舞っておりコネクタロック部分にゴミが溜まりコネクタ自体が破損したりと、社内でも大きな問題となっていました。
そこで、コネクタを集約させるため丸紅エレネクストのマルチカップリングコネクタを採用したところ、今まで問題となっていた懸念事項を払拭することに成功しました。
合計6個のコネクタからマルチカップリングコネクタ2個に集約したことにより、1回あたりの全てのコネクタの着脱作業時間が従来の2~3分から約30秒と大幅に短縮することができました。この作業性の向上により、溶鉱炉付近では夏場は短時間の作業でも脱水症状になる危険性もありましたが、それも改善することができ安全性も向上しました。
マルチカップリングコネクタのロック機構がレバーハンドル式であるため、コネクタのネジ山を破損させることもなくなり、誤接続といった人為的な作業ミスを無くすことにも成功しました。
現在では現場作業者からの評価も高く、マルチカップリングコネクタ以外にも水や油圧用のマルチカップリングのシリーズもあるため、電気設備以外への横展開も具体的に検討しています。