

近年、宇宙・防衛分野では衛星・ロケット・レーダー・電子戦装置などの高性能化が進み、限られた電力とスペースの中で、より高度な信号処理や通信を実現することが求められています。その中核を担うのが、過酷な環境下でも安定して動作する宇宙・防衛向け半導体デバイスです。高放射線環境、極端な温度変化、振動・衝撃といった条件に耐えつつ、小型・低消費電力・高信頼性を同時に満たすことが、開発現場にとって大きなテーマとなっています。
しかし、高信頼な半導体の長期供給体制の維持や専用プロセスの確保といった負担の大きさから、多くの半導体メーカーが相次いで撤退する状況が続いています。その結果、開発・調達の現場では「代替デバイスの確保」や「将来の入手性リスク」がこれまで以上に大きな課題となりつつあります。
こうした中で、産業用コネクタ&コンポーネンツで取り扱っている宇宙・防衛グレード半導体は、長年にわたり宇宙・防衛分野向で豊富な採用実績があり、多くの半導体メーカーが高信頼性半導体市場から撤退する中にあっても、この分野を中核事業の一つと位置づけ、今後も長期にわたって取り組みを継続していきます。
今回のコラムでは、世界の高信頼性半導体市場での課題に向け、産業用コネクタ&コンポーネンツが提供する宇宙・防衛グレード半導体のソリューションをご紹介いたします。
宇宙・防衛グレード半導体の製造元の1社であるTeledyne HiRel Semiconductors社は、宇宙、輸送、防衛、産業用途など、過酷環境での重要なシグナルチェーン機能に対応する高信頼性半導体を提供しています。同社は、衛星推進システム、POL(ポイントオブロード)半導体、通信コンポーネント、完全なペイロードなど、宇宙用途向けに多様な技術と部品を提供しています。GEO(静止軌道)の厳しい要件を満たすことに誇りを持ち、LEO(低軌道)コンステレーション向けのコスト効率の高いソリューション開発にも取り組んでいます。
Teledyne HiRel Semiconductors社 が新製品を投入している一方で、半導体業界全体では、宇宙・防衛向けの特殊半導体や高信頼性部品をめぐるサプライチェーン制約が依然として続いています。これらのデバイスは対応できるメーカーやファウンドリが限られており、供給源が少ないため、わずかな需要変動や生産トラブルが、そのままリードタイムの長期化や供給不足のリスクにつながります。さらに、この分野から撤退するメーカーも増えており、ユーザーが選択できるデバイスやサプライヤーは年々絞られているのが現状です。
Teledyne HiRel Semiconductors社、高出力 RF GaN スイッチを発表

こうした状況の中、Teledyne HiRel Semiconductors社は宇宙・防衛向けポートフォリオの拡充を継続しており、その一例として GaN(窒化ガリウム)高出力 RF スイッチ「TDSW84230EP」を発表しました。このスイッチは 30 MHz~5 GHz に対応し、高ピーク電力を扱える設計で、軍事・戦術通信システムで一般的な PIN ダイオードベースの RF スイッチを置き換えることを想定しています。
GaN 技術による高効率・高耐圧により、小型・高出力な RF スイッチングを実現できるだけでなく、同社の高信頼性設計と長期供給体制により、サプライチェーン制約が強まる中でも、安定調達可能な重要デバイスの選択肢を市場に提供し続けています。
