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スマートファクトリー化やIoTの進展により、製造現場のネットワーク化が急速に進んでいます。PLC、ロボット、マシンビジョン、各種センサなど、あらゆる産業機器がイーサネットで接続される今、その接続点である「産業用イーサネットコネクタ」の選定は、機器の信頼性と生産性を左右する重要なポイントです。
本コラムでは、産業用イーサネットコネクタの基礎知識から、現場で求められる要件、そしてRJ45に代わる次世代規格として注目される「IXコネクタ(ix Industrial)」まで、選定時に押さえておきたいポイントを解説します。
産業用イーサネットコネクタとは、工場や生産設備などの過酷な環境下で、イーサネット通信を安定して行うために設計されたコネクタのことです。
オフィスや家庭で使われる一般的なLANコネクタ(RJ45)と異なり、産業用イーサネットコネクタは以下のような環境での使用を前提としています。
●常時振動が発生する工作機械やロボットの内部・周辺
●切削油・粉塵・水分が飛散する加工現場
●モータやインバータによる電磁ノイズが多い環境
●高温・低温、温度変化の激しい設備内
産業用イーサネットの通信プロトコルには、EtherCAT、PROFINET、EtherNet/IP、CC-Link IE TSNなどがあり、リアルタイム性・同期性が求められる制御通信に使用されます。これらの通信品質を物理層で支えるのが、産業用イーサネットコネクタの役割です。
近年は、マシンビジョン(GigE Vision)の高解像度化や、TSN(Time-Sensitive Networking)対応機器の普及により、1Gbps〜10Gbps級の高速伝送に対応したコネクタの需要が高まっています。同時に、機器の小型化・高密度実装化が進み、従来のRJ45では実装スペースや堅牢性の面で限界が見え始めているのが現状です。
産業用イーサネットコネクタを選定する際には、以下の6つの要件を確認することが重要です。
工作機械、搬送装置、産業用ロボットなどでは常に振動が発生します。振動によってコンタクト(接点)が瞬間的に離れる「瞬断」が起こると、通信エラーや設備停止の原因となります。金属シェルによる確実な嵌合保持や、ロック機構の信頼性が選定のポイントです。
一般的なRJ45コネクタの樹脂製ラッチ(ツメ)は、繰り返しの抜き差しや外力によって折れやすいという課題があります。産業用途では、ラッチ折れによる接触不良・脱落を防ぐため、金属製の強固なロック機構やプッシュプルロック方式などが採用されます。
インバータ、サーボモータ、溶接機などが稼働する工場内は電磁ノイズの多い環境です。通信品質を確保するため、360度シールド構造やシールド性能の高い金属シェルを備え、ノイズの影響を受けにくい(かつ放出しにくい)コネクタが求められます。
産業用イーサネットの高速化に伴い、100Mbps(100BASE-TX)だけでなく、1Gbps、さらにはCat.6A対応による10Gbps伝送への対応が求められるケースが増えています。マシンビジョンや大容量データを扱う用途では、伝送カテゴリの確認が必須です。
粉塵や水・油が飛散する環境では、IP65/IP67などの保護等級に対応したコネクタが必要です。制御盤内などの保護された環境か、盤外・機外の暴露環境かによって、必要なIP等級を見極めます。
機器の小型化に伴い、基板上の実装スペースは年々限られてきています。多ポート化(デイジーチェーン接続など)が求められる機器では、コネクタの省スペース性と並列実装のしやすさが設計自由度を大きく左右します。
上記の要件をバランスよく満たす次世代コネクタとして、いま最も注目されているのが「IXコネクタ(ix Industrial)」です。
IXコネクタは、国際規格IEC 61076-3-124に準拠した産業機器通信用の小型イーサネットコネクタです。規格化されたことでメーカー間の相互接続性が確保されており、複数のコネクタメーカーから互換製品が供給されているため、特定メーカーに依存しない安心した調達・設計が可能です。
PROFINET、CC-Link IE TSN、GigE Visionといった主要な産業用イーサネット規格・プロトコルでも採用が進んでおり、「次世代の標準コネクタ」として普及が拡大しています。
従来のRJ45コネクタと比べて体積を約75%削減。実装スペースを大幅に節約でき、10mmピッチでの並列実装も可能なため、多ポート化・デイジーチェーン接続が必要な機器の小型化に貢献します。
Cat.6A性能に対応し、1Gbpsはもちろん10Gbps伝送までカバー。高解像度マシンビジョンや大容量データ通信にも余裕を持って対応できます。
独自のシェル設計により、高い基板保持強度と耐振動性を実現。ケーブルの引っ張りやこじりなど外部負荷からも接続部を保護し、RJ45で課題だった「ラッチ折れ」の不安を解消します。
金属シェルによるシールド構造で、ノイズの多い産業環境でも安定した通信品質を確保します。
IXコネクタの嵌合キーには、イーサネット通信用の「Aタイプ」と、イーサネット以外の信号用の「Bタイプ」があり、誤嵌合を防止しながら多用途に使用できます。D-subコネクタの小型化・置き換え用途としても活用可能です。
IXコネクタは、性能面だけでなく実装・結線の作業性にも配慮されています。
>>IXコネクタの製品詳細はこちら
●THR(スルーホールリフロー)実装対応: 表面実装工程でのはんだ付けが可能で、基板実装の効率化に貢献
●現場結線タイプをラインナップ: 汎用工具で結線できる現場結線プラグがあり、設備立ち上げ時や配線変更時にも柔軟に対応可能
●小型防水プッシュプルタイプ: IP65/IP67対応の防水・防塵タイプは、ワンタッチのプッシュプルロックで盤外・機外でも確実に接続
●ライトアングル/ストレートの基板側バリエーション: 機器のレイアウトに合わせてレセプタクルの向きを選択可能
●産業用ロボット・協働ロボットの制御通信
●マシンビジョン・産業用カメラ(GigE Vision)
●PLC・リモートI/Oなど制御機器の多ポート接続
●半導体製造装置・検査装置
●AGV/AMR(無人搬送車)などの移動体機器
産業用イーサネットコネクタの選定では、耐振動性・ロック機構・耐ノイズ性・伝送速度・防塵防水・小型化という6つの要件を、使用環境に照らして確認することが重要です。
なかでもIXコネクタ(IEC 61076-3-124)は、RJ45の課題であった「サイズ」「堅牢性」「ラッチ折れ」を解決しながらCat.6A/10Gbps伝送に対応する、次世代の標準コネクタです。機器の小型化・高速化・高信頼化を検討されている設計者の方は、ぜひRJ45からの置き換え候補としてご検討ください。
当サイトでは、IXコネクタ(ix Industrialシリーズ)の製品ラインナップ・仕様の詳細をご紹介しています。型番選定や納期、ハーネス加工のご相談にも対応しておりますので、まずは下記の製品ページをご覧ください。