

近年、原子力発電所の運用・保全現場では安全性向上と作業者の被ばく防止が最重要課題となっています。定期点検やトラブル発生時の状況把握、廃炉措置における内部設備の状態確認など、放射線環境下での可視化ニーズは年々高まっています。しかし、一般的な産業用カメラは放射線や高温、湿潤環境に耐えられず、短期間での故障や画質劣化、頻繁な交換によるダウンタイムが課題となっていました。
従来は放射線耐性で実績のある海外製の撮像管タイプを採用してきましたが、装置の大型・重量化、残像・焼き付き、部品枯渇に伴う長期リードタイムや保守負担の増大が課題でした。今回は、廃炉処理向けに国産の撮像素子を搭載した小型・軽量の耐放射線カメラを導入し、放射線環境下での作業場の可視化を実現した事例をご紹介します。
原子力発電所での核燃料の取り出し作業は、非常に強力な放射線を放つ燃料棒が大気中に剥き出しとなる為、人間の近づく事のできない環境下での作業が求められます。
これまでは、そのような強力な放射線環境下では現場の可視化のため海外製の撮像管タイプの耐放射線カメラが使われてきました。ただ、撮像管タイプはサイズが大きく、設置場所に制約があり、難易度の高い作業でした。
また、海外製の耐放射線カメラは非常に高価なうえに仕様以下の放射線で故障をしてしまうことがあり、安定的な故障対応・保守等、信頼性の上で少なからず懸念がありました。
このような現場で抱える課題は、主に以下の通りです。
撮像管タイプは筐体・電源が大きく、狭隘な設置箇所で必要な視野角を確保しづらく、死角や逆光が生じやすい状況でした。
仕様値以下の線量環境でも早期劣化・突発故障の事例があり、24時間365日の運用に必要な信頼性マージンが不足していました。
海外製であるため、故障発生時の供給元会社との調整に時間がかかり、かつ撮像管タイプは生産中止も危ぶまれる製品でもありました。
そこで採用されたのが、JAXAとの共同開発にて実現したCMOS固体撮像素子を搭載した国産耐放射線カメラです。導入の決め手となるポイントは以下の通りです。
宇宙空間での耐放射線技術を活用した、JAXAと共同開発によるCMOSセンサーを搭載。従来のカメラに比べ、耐放射線特性が世界最高レベルへ向上しました。また衛星搭載技術により、小型軽量・低消費電力を実現し、場所を選ばず自由に設置ができるようになりました。
集積線量2MGy、線量率3,000Gy/hの高い耐放射線性能を国内設計・製造・検証にて実現し、仕様値にも信頼性マージンを取っており故障のしにくいカメラを提供しています。
国産のカメラであるため、なにか問題が起きた際にはすぐにお客様のもとへ駆けつけることができ、かつ本撮像素子も国産品であるため、日本国内での安定供給が可能です。


今回ご紹介した採用事例では、下記カメラが活用されております。
TYPE-SSC&SSM(S-Series)非防水型耐放射線カメラ
このような耐放射線環境下にてカメラを使用したいというご要望がございましたら、原子力関係、宇宙関係問わず産業用コネクタ&コンポーネンツまでお気軽にご相談ください。
今回の採用事例でご紹介した製品以外にも、円筒型の非防水/防水、モノクロ/カラータイプ、放射線耐性のあるケーブル中継器等、取り揃えております。
